わが家のアトリエにはいろいろな材料が眠っている。理由は、所有者である主が非常に気まぐれであるからだ。製作意欲に駆られて購入しても、なかなか作業に取り掛からないため、次第に意欲が失せて材料だけが取り残されてしまうのである。
そんな材料置き場からブライヤーが見つかった。これはパイプの材料として有名な木である。地中海近辺に自生するツツジ科の木である。熱に強く木目がきれいなため利用されるのだろう。これを見つけた以上はパイプをつくらざるを得ない。
早速パイプ作りの開始である。まず、火皿を掘りそこへ通ずる煙道用の穴をあける。そして全体像を思い浮かべながら、大まかに形を削りだしていく。マウスピースは口元で若干湾曲しているものを選んだ。ひたすらやすりで形を削り出し、仕上げはサンドペーパーを数種類使用し、つるつるピカピカに仕上げる。これに光沢の出る塗料を塗りこむ。色がやや薄いので再度塗り込む。いい色合いになったところで、今度はひたすら艶出しのために空拭きをする。
出来上がったパイプを見て一言。これ、どうしようか? 今では喫煙していた期間よりも禁煙している期間の方が長い。禁煙を解除するつもりはない。では、どう説明をしようか? ・・・、喫煙をするためにつくったのではなく、材料を優先した結果がこれになっただけのことである。つまり、マテリアルファーストということになる。うーーーん、なんか苦しい言い訳のような感じがするな! XXXファーストというやつは、どうもこじつけが多いような気がするな。
まっ、とりあえず一作品として飾っておくことにしよう。