ハス
ハスの種を近所の方にもらった。種は楕円形(1×1.5cm)で、殻は恐ろしく硬い。殻付きのマカダミアンナッツを小さくしたような感じである。ハンマーまたは万力がなければ割れない硬さである。殻は硬さとともに厚みもある。このままではおそらく発芽しないだろうと思われる。自然界では数年の年月が経過し、表面の殻が分解されたころに発芽するようにできているものと思われる。家庭で発芽させる場合は、やすりで殻の一部分を削り、殻の中にある白い実が見えるようにしてから水に浸けておく。やすりで削る際、木とは比べ物にならないぐらいの硬さを感じた。小さ過ぎてしっかりと手で持つことができないので、やすりをかけるのに一苦労した。こうして削った種を水に浸けて暖かいところに置いておくと、1週間程度で発芽するという。不思議なことに種だけを入れているにもかかわらず、水が濁ってくるのである。ほとんど毎日のように水を入れ替えなければならない。せっかく温まった水を捨てて、冷水を入れたのでは種もびっくりするだろうと思い、温水を入れて水温を一定にした。気づかいを感じたのかどうかはわからないが、5日目に発芽が始まった。発芽してからも水の濁りは続いたので、毎日水を入れ替えた。葉はきれいな緑色で水面へ向かって伸びてくる。葉に浮力があるというよりは、撥水力によるものと思われる。それで水面に浮かんでいるのであろう。葉の上に水をかけると、きれいな水球ができてコロコロと転がる。
発芽して適度に葉が伸びてくると、直径30cm程度の鉢に土と水を入れて植える。幸い、わが菜園の土は田んぼと等しいくらい土に粘性があるので、ハス栽培には最適である。菜園の一角に棚を作り、そこへ設置した。プラスチックの植木鉢の底の水抜き穴をシリコンでふさいで使用した。見た目には十分耐えうる代物である。ハスは1日中、陽が当たる環境が望ましいのであるが、わが菜園にはそのような一等地を提供できる余裕がない。半日程度なら何とか陽が当たるような場所しか提供できない。そのような環境でも一生懸命葉を増やし、徐々にその存在をアピールしてきた。6月下旬には葉が10枚程度に増えていた。大きいものは直径が10cm、小さいもので5cmくらいである。まだ水面には葉をひろげられる余裕がある。しかし、どうしたことか水面に葉を広げるのをやめて、上へ伸び始めた。茎が直立しだしたのである(注1)。これには驚いた。4足歩行していたものが、ある日突然2足歩行を始めたようなものである。その後も次々と葉が伸び、林のようになった頃につぼみが出てきてきれいな花を咲かせた。
注1:最初に「浮き葉」が出て、その後「立ち葉」が出る。
<発芽>
<葉が立ち始めた>
<見事に開花>