外来種

 外来種といった時、何を思い浮かべるだろう。釣り好きな人間としてはブラックバスが浮かぶ。池や湖で大量に繁殖し、貪欲な食欲と繁殖力で在来種を絶滅させかねない。これ以外にもよく聞くところでは、カミツキガメ、ミドリガメ、ハクビシン、アライグマ、チャバネゴキブリなどがいる。どれも歓迎されていないものばかりである。そんな中、珍しいところでは、セキセイインコやダルマインコも含まれている。これらはむしろ見てみたい気がする。自然にいるのを見ると結構感動すると思うのだが・・・。やはり悪さをするのだろうか。なにかと印象の悪いのが外来種である。

 さて、話は変わってわが菜園内の池である。いつの頃からかはっきりしないが、メダカ池にタニシが生息し始めた。全く外部から遮断(近くに田んぼや池、小川などはない)されているので、ここに存在することが不思議である。大きさは1cmくらいである。その大きさを筆頭に、さらに小さなものが無数にいる。小さい割にはかなりの速度で動き回っている。特に悪さをしたり、邪魔になったりしないので放っておいた。しかし、どうして発生したのかという疑問が消えない。まず、このタニシの正式名称を確認することから始めることにした。写真を撮り、それをもとに検索を開始した。しかし、なかなか見つからない。それもそのはず、タニシで検索するから出てこないのである。明らかに思い込みである。淡水にいるうずまき貝ということで、現状の知識ではどうしてもタニシになってしまう。いろいろと見方を変え、写真を参考に探すと、「サカマキガイ」という名称に到達した。どうやらこれが正式名称のようである。では、サカマキガイとはどんな貝なのか。「名前の由来は、殻が多くの巻貝とは逆の左巻きであることによる。北米が原産となっている。食性は付着した藻などを主食にしている」となっている。では、これがどうやってこの池に入り込んだのか? どう考えても不思議としか言いようがない。空から降ってくる以外考えられない。しばらくこの状態が続いたある日、日記を見て「あっ!」と気が付いた。そう、この外来種がメダカ池に入り込んだ原因に関してである。原因はただ一つ。メダカ用に購入した水生植物である。おそらくそれにサカマキガイの稚貝か卵が付着していたものと思われる。それがこの池で増えたということであろう。池に発生した藻やメダカの糞等、ゴミ掃除をしてくれそうなのでそのままここで生息してもらっている。先日、この貝を観察しているときに、面白い光景に出合った。何と、水面に逆さまに浮かび、あたかも水面にガラスが張っているかのようにして進んでいるのである。何とも不思議な行動をする貝である。まるで忍者である。わが菜園ではこの貝を「サカマキガイ」とは呼ばず、「サカサガイ」と呼んでいる。外来種であるため、外部への移動は絶対に避けなければならない。水の交換や水草の移動時には、十分すぎるくらいの注意が必要である。