害虫
野菜によって独特な害虫がやってくる。決して浮気はしない。その品種一筋である。わが家庭菜園へのお客さんは、オンブバッタ、アリ、ウリハムシ、テントウムシダマシ、ヨトウムシ、アオムシ、カメムシ、アブラムシ、コガネムシ、ブドウトラカミキリ、タバコガ、ハモグリバエ、ハマキムシ等である。これらはわかっている分で、夜だけ出没、あるいは土の中だけにいるものはわからない。それらとは別に常駐しているナメクジ、ダンゴムシは例外で何でも食べる。収穫するまでほとんど影響を受けないものから、大打撃を受けるものまでいろいろである。今年はミニトマトが大きく影響を受けた。タバコガとカメムシである。タバコガはトマトが青いうちに、実に穴をあけて中へ入り食い荒らす。したがって、その後赤くなっても食べられない。これが10個に1個程度の割合で発生した。カメムシは今までほとんど発生していなかったが、今年は異常に発生している。こちらはタバコガと違って、熟して赤くなってから針を刺して中身を吸う。これにやられると、黄色やオレンジの斑点状になる。ごつごつした歯ごたえになり、トマトの滑らかな歯ごたえがなくなってしまう。これも10個に1個程度発生した。したがって、虫の取り分が2割にもなってしまう。ウイスキー作りでの天使の取り分に比べれば少ないほうかもしれない。ここへ台風でも来て、雨除けが飛ばされれば、完熟前の実のほとんどが割れてしまう。それらを見越して多めに栽培するので、最盛期には毎日ミニトマトを40個程度食べる。収獲期間が2か月近くあり、平均すると毎日30個程度食べるので、毎年1,800個程度は食べることになる。いい酒のつまみになるのである。なんとなく、健康的な酒の飲み方のような気がして、罪悪感がすこし薄らぐからありがたい。涼しくなり、完熟する期間が徐々に長くなってくると、そろそろ終焉を迎える。このころには、1個、1個しっかりと味をかみしめながら、今年美味しかった品種を来年もと誓うのである。これだけ食べてもまったく飽きない。虫の気持ちがちょっとだけわかるような気になる。しかし、虫と違って食べるものに関しては浮気ばかりである。もうしばらくすると、サツマイモの収穫である。こちらは土の中にあるので、害虫からの影響は掘ってみるまで分からない。早く収穫すれば被害は少ないのであるが芋が小さい。芋が大きくなるまで置いておくと被害が大きい。したがって、試し掘りをするのである。これで芋の大きさと被害状況を比較し、掘るかもうしばらく置いておくかを判断する。ひどいときなど、コガネムシの幼虫に芋をぼこぼこにかじられてしまう。本来腐葉土を食べて育つ幼虫が芋を食べて育つのであるから、さぞかしすばらしいコガネムシが育つものと思われる。地上にも地下にも、おいしいものがあるところには必ず害虫がいる。もし、サツマイモが地上で栽培できたら、はたしてどのような害虫が食べに来るのだろうか?