14.インフルエンザ
生まれて初めてインフルエンザに罹った。毎年冬になると気になっていたが、予防接種をすることなく過ごしてきた。予防接種で絶対に罹患しないということであればするのであるが、どうやらそうではないらしい。何やらギャンブル性の強さを感じる。流行りそうなインフルエンザの株を予想し、それを数種類混ぜたものらしい。ギャンブルにはめっぽう弱い性格なので、これは絶対に当たらない。ということで、まあ何とかなるだろう、で今まで過ごしてきた。
いつものようにアトリエで木工作品を製作していたときのこと、少し喉がいがらっぽくなった。マスクをせず鑢をかけていたので、削った木の粉を吸ったのが原因だろうと思っていた。その日の夜はちょっと寒気がして、背中がぞくっとするようなときがあった。翌日は体調万全というほどではなかったが、それほどきつくもなかったので、スポーツクラブでいつも通りの運動をこなした。体調が悪化したのはその日の夜である。熱は36度台の後半から37度の前半で、それほど高熱ではない。しかし、腰から背中にかけて非常に痛みを感じる。特に腰は抜けるようにだるい。この時点では高熱が出ていないので、インフルエンザを疑っていなかった。翌日になっても体がだるいので医者へ行った。結果はインフルエンザA型であった。さっそくウイルス感染の治療薬であるイナビル吸入粉末剤を2個吸引した。粉っぽいものが口に残ったが味はない。治療はこれで終了である。あとはじっとおとなしく寝ているだけである。ただ、関節の節々、背中から腰が痛くだるいので、痛みや熱を抑える薬を処方してもらった。
通常ではここで反省をし、来年からは予防接種をしよう、ということになるのだろうが、そうはならない。なぜならないのか? もちろんギャンブルに弱いということも原因の一つである。予防接種をしたところで、流行したインフルエンザが外れれば感染する可能性があるのである。それなら初めからやめておく方が得策である。そして、それ以上の理由がある。それは今回の生活にある。安静ということで、4日間ずっと寝ていた。毎日毎日寝不足な生活していたので、これほどうれしいことはなかった。食事、トイレ、風呂以外はずっと寝ていた。人生でこれだけまとめて寝たのは初めてである。もちろん連続で寝続けたわけではない。2、3時間寝ては、1時間起きて、また寝てという繰り返しである。体が痛くだるくてつらい思いをしながら、なにやらほっとするところがある。そう、スポーツクラブでのきつい練習をしなくていいのである。それと同時にきつい減量とも縁が切れるのである。発熱で食欲は全く起こらないからである。周りへの迷惑を度外視すれば、罪悪感なく練習をさぼれて、減量のおまけまでつくので、年に1回くらいはインフルエンザもいいかなという気になってくる。
ただ、痛みや熱を抑える薬が思ったほど効果を発揮しなかったのが残念である、と思いつつ飲み残した薬の注意書きを見ると、「組合せに注意が必要な薬があります。・・・・アルコール含有品にも、注意が必要です」となっていた。いつもながら、体は常に内外から消毒するのがベストだと思っているので、内部もかなり頻繁に消毒をした。熱に侵されアルコールとしての味が全く分からないまましっかりと飲んだ。ずっと寝ていたので、ずっと寝酒をしていたことになる。これが効果を消していたのかもしれない。これはぜひもう一度確かめてみる必要がありそうである。