ハタケニラ撲滅作戦

◆「ハタケニラの恐怖」をホームページにアップしてから1年以上たって、爆発的な展開を見せている。厄介者のハタケニラとの格闘を軽い気持ちで掲載したが、ここまで興味を持たれるとこのままでは終われなくなってしまった。対策としては、黒マルチで光合成をさせないという方法を採用したが、ここではこれ以外の方法を模索してみたい。ということで、無い知恵を絞り出しながら、何とか対策を見つけ出していこうと思う。

 

(1)第一作戦:毒を以て毒を制す

 アトリエの物置の隅にプラスチック容器に入ったはちみつがあるのを見つけた。賞味期限が半年以上過ぎている。色はやや黒ずんでいるがはちみつの匂いはしっかりとしている。味もはちみつである。少し食べてみたが、健康状態に影響を及ぼすような出来事はおきなかった。唯一問題があるのは、気持ちよくあるいは楽しく食べることができないということである。仕方なく処分することにした。処分といっても捨てるわけではない。有効利用するのである。はちみつには十分すぎるくらい糖分が含まれている。これを利用するのである。そう、発酵させてアルコールを発生させるのである。飲料用のアルコールを作ろうというのではない。ハタケニラをすりつぶし、それにはちみつと水を混ぜてハタケニラ酒を造るのである。これをハタケニラにかけることで、「毒を以て毒を制す」というわけである。発酵させること数日。わずかに発酵したようなにおいを放ち始めた。ものがものだけに味見をすることができない。さらに放置すること10日。かなり醗酵が進んでいるようである。ニオイにはっきりとアルコールが含まれていることがわかる。早速これをハタケニラにかけることにした。このままかけてもほとんどが流れ出してしまうので、根元近くに穴を掘りそこへ流し込んだ。翌日、結果を楽しみにいそいそと菜園へ出かけた。そして目にした光景にびっくりである。と、まあこう書けばハタケニラが全滅していると思われがちであるが、結果はそうではない。ハタケニラは元気にぴんぴんしている。びっくりしたのは魔法の液体をかけた穴の部分とその周りである。ぴかぴかに光っている。ナメクジが歩き回ったようである。しかも、長時間の訪問であったことを想像させてくれるに十分なテカリ方である。ナメクジトラップにビールを使う方法がある。おそらくこれと同じ効果があるのだろう。なんだか急に親近感が出てきた。ナメクジが菜園主同様にアルコール好きとわかれば、対応も少しは違ったものにならざるをえない。しかし、ここは心を鬼にしてナメクジ退治をすることにした。トラップは簡単である。中央部から切り取ったペットボトルにハタケニラ酒を注ぎ、地中に埋めるだけである。これで間違いなく溺死するはずである。結果は思ったほど多くはないが4匹が溺死していた。

 ハタケニラ撲滅の第一作戦は「毒を以て毒を制す」であったが、「酒を以てナメクジを制す」になってしまった。完敗である。

 

<魔法の液体を注ぐ>

 

<ナメクジが歩き回りテカテカ>

 

<ナメクジトラップ>

 

(2)ちょっと一服

 ハタケニラ酒ではほとんどといっていいくらいナメクジが捕れなかった。このまま終わるわけにはいかない。そこで今度はもっと本格的なナメクジトラップをつくることにした。といってもエサが変わるだけであるが・・・。ナメクジトラップのエサとしてよく使われるのはビールである。これをトラップのエサに使おうと用意するのであるが、いつまでたってもトラップへ注がれない。どういうわけか、喉の奥へ消えてしまうのである。仕方なくこれの代用品を探していると、アトリエの冷蔵庫の奥に味醂を見つけた。これも広義に解釈するとビールの仲間である。早速これを代用品にすることにした。ナメクジの中には甘党もいるかもしれない。これに砂糖を入れることで、両者が寄ってくることになる。酒好きと甘党の両者を捕獲できるのである。

 早速、前回同様の場所へトラップを設置した。期待に胸を膨らませ、翌日その場所へ行ってみた。なんと驚くことに、大量のナメクジが溺死していた。その数78匹。このトラップでナメクジを捕獲できた理由が、味なのか匂いなのかはよくわからないが、効果は抜群であるということが分かった。本来ならばさらに詳細に、匂いか味かを見極めるところであるが、どうもそこまでの好奇心がわいてこない。とりあえずトラップとして成功したというわずかな自己満足のみである。もし、これでわが菜園内からナメクジを完全に排除できるというのであれば、がぜんやる気が出てくるのであるが・・・。絶対といっていいくらい無理なことが分かっている。なぜ無理なのか? それほど大量のナメクジが隠れ住んでいるからである。ナメクジやダンゴムシというのは、完全に排除するのではなく、適度に共存をすることが大事なのである。あまりにも目立つときは、トラップを仕掛ければいい。それ以上を求めても勝ち目がない。彼らも自然の一部なのである。自然は力強くかつ偉大なのである。

 それにしても、なぜナメクジが溺死したのかが不思議である。這ってペットボトルの淵から入っていくのであるから、ごくごくと飲んだ後は戻ればいいように思うのだが・・・・。やはり大好物を目の前にすると、頭から入り全身で味わってみたいと思うのだろうか? 夏の暑い時期に、運動をして大量の汗をかいたとき、ビールをごくごくと飲むだけでは物足りなくて、ビールのプールがあればいいなと思うことがある。そして、そこへ飛び込んでおもいっきり飲んでみたいと思う。なんだかナメクジの気持ちがわかったようで、うれしいような悲しいような変な気分にさせてくれる。ここでナメクジに寄り道している場合ではない。本題はハタケニラの撲滅である。さらなる対策を検討する必要がある。

<溺死したナメクジ>

 

(3)第二作戦:物理学の応用

 次の仮説である。これは物理学を利用するというちょっと高度な対策である。地中にあるハタケニラは、そのままでは、葉を地上にまで伸ばすことができないだろう。ではどうやって深い位置から葉を地上まで伸ばしているのか? 最初に発芽した時は地表近くであり、その後徐々に深い位置へと潜るが、それと同時に葉も地上へと伸ばす。結果として、球根が深い位置に潜った時には、球根から地表まで葉が延びているので、葉によるトンネルができているのと同じことになる。次に生えてくる葉は、その葉のトンネルの内側を伸びてくるので、何の抵抗もなく地表まで葉を伸ばすことができる。この道をふさげば葉を地表まで伸ばすことができなくなる。ではどうやってこの道をふさぐか? ここで活用するのが物理学である。斜面に置かれた物体が、斜面を垂直に押す力を考えればいい。平面に置かれた物体なら、その重量がそのまま平面にかかる。ところが斜面に置かれた物体なら、斜面に平行方向と垂直方向に分散され、斜面にかかる重量は軽減される。これを利用するのである。球根から延びる葉は、地上へ垂直に伸びてくる。したがって、力を垂直方向にすべて使うことができる。この力を分散させ弱めることで地上まで到達させないようにするのである。では、どうやればその力を分散させることができるか? 上方向に延びている葉をジグザグにして垂直に伸びることができないようにするのである。方法としては、地表で切り取った葉の部分をハンマーで力いっぱい叩くのである。そうすることで、地中にある葉の部分は押し縮められ、ジグザグになる。これで上方向の力を十分に得られず地中に滞在し、やがて腐敗することとなる。

 いったん成長を止めたように見えたハタケニラであったが、物理学をものともせずすくすくと成長を遂げてきた。なぜこのように成長できたのかを確認するために、その部分のハタケニラを掘ってみた。葉はジグザグすることなく真っすぐに伸びていた。

 ハタケニラ撲滅の第二作戦は「物理学の応用で成長を止める」であったが、「物理学をも超える成長力」に完敗である。

<ハンマーで強打し、葉を切り取る>

 

<1週間後、元気よく葉が延びてきた>

 

※植物のパワーはいたるところで目にしている。「ムギのギム」でも書いたように、発芽時に上部の土の塊を持ち上げる写真を添付した。アスファルトを突き破り雑草が芽を出す、ということはよく目にするところである。「根性ダイコン」などというのもかつて話題になった。それくらい植物は秘めたる力をもっている。それをあえて否定するような行為で成長を止めようとしたが無理であった。薄学な知識しか持ち合わせていないにもかかわらず、植物の崇高な生命力を物理学で止めようとした恥ずかしさをしみじみと感じている。葉の上部から強烈な圧力を受け、葉が曲がり傷ついても下から延びる新鮮な葉が土を押し上げる。なんともすさまじい力である。

 

(4)第三作戦:子球根は好光性?

 ハタケニラは通常の雑草が持ちえない武器を2つ持っている、その一つが地中深く潜ることができる能力である。もう一つは球根の周りに無数の子球根を発生させ、掘り上げるとパラパラと自然に落下させることである。この二つの能力を封じることができれば、確実に根絶への一歩を進めることができるのである。まず一つ目の仮説。ハタケニラの子球根は地中深くでは発芽できない。ハタケニラは最初から深い位置で発芽するのではない。発芽してから地中深く潜るのである。もし深い位置で発芽することができるのであれば、親球根の周りに大量に付いた子球根が発芽し、親ハタケニラの周りは子球根から発芽したハタケニラが多数存在することになる。しかし、そのような光景は全く見当たらない。発芽してくるのは耕運機で耕した柔らかい土のところなのである。ここで発芽しているものは、耕運機で掘り起こされたときに親球根からばら撒かれた子球根である。これはハタケニラの生えているところを耕した時に、その子球根があちこちにばらまかれるからである。それらのうち地表近くのものが発芽し、その後地中深く入るものと推測できる。したがって、地中でできた子球根は、そのままでは発芽しないというのが仮説にする理由である。土を耕した後、発芽してきたハタケニラは根が浅いので簡単に撤去することができる。そしてこれにはまだ子球根が発生していない。これを確実に実行することで絶滅させることができる可能性がある。

 上記仮説を実証するためには、地中深くにある子球根が発芽しないというということを確認することが必要である。これについては、発芽実験として、子球根を深く植えて発芽するかどうかを試みることとする。発芽の時期は10月ごろになるので、それまで楽しみにお待ちいただきたい。


<5、10、20cmの深さに子球根を植えた>

 

(5)第四作戦:花の生命力を確認

 現在わが菜園内では、あちこちにハタケニラが生えている。これらはおそらくその種子から発生したものもかなりあるものと思われる。それぞれが点在している位置や数からしても合理性がある。したがって、あまりにも子球根の方へ目をやりすぎるのではなく、花もしっかりと処理しなければならない。ここでちょっと気になるのは、ムギの一件(参照:ムギの執念)である。ムギは先端にほんのわずか穂が出てきただけで、種子を生産することができるという件である。軸に蓄えた栄養分や水分で先端の穂を成長させるのであろう。ハタケニラにもこのような能力があるのか、ないのかをも確認しておく必要がある。今までは花を切り取ったり抜き取ったりした後、菜園内のあちこちに捨てていた。もし、花にこのような能力があるとすれば、捨てたところからハタケニラが発芽する可能性があることになる。今回、菜園内で咲いた花は、すべて今まで通りの方法で抜き取って一括管理した(全部で348本採取)。一部には花から実になっているものがあった。これらが完熟しているかどうかはわからないので、植木鉢に植えてみた。もしこれらから発芽があれば、実が成っていなくても花の時点で要注意ということになる。これも今回の発芽実験として実施することとした。7月8日、採取した花から生まれた種を植木鉢に蒔いた。もし発芽するとすれば10月ごろになるだろう。また一つ楽しみが増えた。

<花の採取・保管>

 

<花の乾燥>

 

<種の取り出し>