働き方改革
家庭菜園を長くやっていると、いろいろなことに出くわす。育成植物のことを思い、かつそこへ菜園主の欲望を混ぜ込んで対応している。適切な季節に適切な処置をした畝に野菜の苗を蒔く。適度に追肥をして成長を促す。できる限りの量と質を求めて対応することとなる。一生懸命とは言わないまでも、かなり気を使って対応しているにもかかわらず、思い描いた結果が得られない場合が時としてある。それは実を収穫する食物に多く発生する。一生懸命育てても量が少ない、実が小さい、あるいは実をつけない、等である。これは以前書いた“力量”とは異質のものである。よく言われるのが“つるボケ” (肥料をやりすぎると、葉や茎が成長し過ぎて実をつけない現象のこと)というやつとも違う。
例として挙げれば、“カキは隔年で収穫量が増える“というやつである。たくさんの実をつけた翌年は休養のためほとんど実をつけない。これで英気を養って翌年多くの実をつけるのである。我が菜園の例でいえば(わが菜園だけの現象かもしれないが・・・)、レモンとブルーベリーがこれにあたりそうである。レモンは多くの花が見事に咲くのであるが、その後めしべの付け根の部分が膨らまずに黄色くなって落下してしまう。数年間ほとんど実をつけない時期があった。最近はよく実をつけているので、健康体になったのか考え方を変えたのかはわからない。ブルーベリーは恐ろしいくらい花が咲く。我が菜園を担当しているミツバチは、いつも1匹でやって来るところを見ると他に担当者(蜂)はいないのだろう。これだけ多くの花を1匹のミツバチで担当することはとうてい無理である。そのせいか、すべての花が実になるわけではない。これは自然相手のことなのであきらめざるを得ないのであるが、そうでない場合もあるのである。担当のミツバチがやってきて、蜜を吸おうと花に止まるのであるが吸えずに、あちこちをうろうろと飛びまわっているのである。ブルーベリーの花は、入り口がすぼんだ壺のような形をしているが、この入り口がさらに小さくて閉じたような状態になっているのである。ほとんどすべての花がこのような状態なのである。これではミツバチがいくら頑張ってくれても受粉させることはできない。自ら実をつけることを拒否しているかのようである。一応、菜園主には花だけでも見せて満足してもらおうという心遣いなのだろうか? しかし、しっかりと自己主張をし、今年は疲れているので花を咲かせた後はじっくりと休養をいただきます、ということなのであろう。例年なら実を収穫した後に”お礼肥え“をやるのであるが、今年は早めにお礼肥えをやって休息に入ってもらった。
このような形で植物たちも“働き方改革”をやっているのである。いつまでも同じようなことをやり続けている菜園主も、そろそろ働き方改革を考える時期かもしれない。